“以前はできていたのに”“家ではできるのに”“パパの言うことは聞くのに”…よく、こんなこと感じたりしませんか?せっかく頑張って学習したのに、なかなか成果につながらない。これらはどれも、「定着化」が問題なのです。
定着化とは、“いつでもどこでも誰に対しても、同じように反応できること”。指示の出し方、仕草が少々違ったって、すぐにきちんと従えたら、そこで初めて“定着した”と言えます。でもこの「定着化」、そう簡単にいかないのです。
最初の頃はたくさん褒めていたのに、だんだんと“もう、できて当たり前”“ここでできるなら、どこでもできるだろう”なんて、ついつい人の目線で考えてしまいがちです。でも、犬はすぐには「あぁ、これはあのことね」なんて考えないし、ほっとかれたらそのうち忘れちゃうんです。
だから、私たちは犬が定着できるまで、温かく励まし続けなければなりません。これはなかなか労力のかかることです。
でも、想像してみてください。“いつでもどこでも心穏やかに過ごせる愛犬”“だれからも愛され、飛びきりの笑顔を振りまく愛犬”“不測の事態が起きても、落ち着いて戻ってこれる愛犬”――労力をかける価値、十分ありませんか?
どんなに頑張ったとしても、完璧な犬なんて存在しません。犬の感情はとても移ろいやすく、「将来のために今しっかり頑張ろう」なんて考えません。ただただ、今を生きています。何かのきっかけで、気持ちや行動ががらりと変化することもあります。
だから、私たちは多少のことで彼らの心が揺らいでしまわないよう、「心の器」をできる限り広げ続けなければなりません。そう、犬の学習は一生続くものなのです。だったら、愛犬を思いきり楽しませてみましょう。楽しいことならきっと続けられます。できないことを叱るより、できたことを一緒に喜ぶほうが私たちも長く続けられます。
そう、本当に大事なのは、私たち自身が犬との学習を楽しむこと。大好きな家族が喜ぶ姿に、愛犬の目もきっとキラキラ輝くはずです。