前回のブログで書いたワグのスタート問題。
スタート地点で首輪外すとハンドラーを無視して飛び出しちゃう。
そのおかげでリカバリースキルが格段に進歩したんだけど、
競技で成果を残すにはかなりツラい状況(笑)
なぜワグは飛び出してしまうのか?
原因として考えられるのは大きく2つ。
①ストレスの問題(”待てない”)
おそらくワグは気質的にストレス耐性が低い。
何かあると過敏に反応するし、じっと落ち着けないタイプだ。
この気質の影響は本当に大きく、本来、子犬の頃に慎重にトレーニングする必要があった。
にも拘らず、十分な社会化のトレーニングをさせてあげられていないばかりか、
私はいくつか致命的なミスを犯してきた。
その一つがドッグラン。
スピード豊かでしなやかに動くワグ。
1歳を超えるまで、ワグを追いかけても触れられる犬はいなかった。
何頭に追い回されても、まるでカンフー映画のように華麗に交わし、終いには相手が諦めちゃう。
その姿に見惚れていたが、ワグはちゃんとSOSを出していたのだ。
思春期を過ぎ成犬になる頃、ワグはカンフーごっこをやめ、ベンチに避難するようになった。
犬が苦手な犬になったのだ。
アジリティ競技会。
犬の数はドッグランの比ではない。
スタートを待つ場所には、様々な犬の匂いで満ち溢れている。
ワグにとってここは、”安全な場所”ではないのだ。
もちろん、ワグが平常心でいられないのは”犬”の存在だけではない。
・たくさんの人のざわめきやテント、場内放送など、競技会そのものの環境
・目の前に大好きなアジリティ。そしてそこを疾走する一つ前の順番のチーム
・ハンドラー(私)の緊張感、そこから受けるプレッシャー
・早朝からの車移動、さらに長時間に渡るクレート内での待機
などなど
これらの様々な要因とワグの気質、培った性格が積み重なり、平常心を保てなくなるのだ。
②行動学習の問題(”待たない”)
もう一つの要因。
それは、”待たなくても得られる成果”だろう。
日頃の練習場では、もしスタートを飛び出せば止められ、やり直しさせられる。
一方、競技会は「犬が最初の障害を越えたら競技が開始」されるのだ。
衝動性の高いワグは、基本”待たされる”のは好きではない(多かれ少なかれどの犬もそう)。
そしてアジリティが大好き。
正確にはたぶん、アジリティというより私と一緒に走ることが大好き。
自分が逃げて追いかけられるのも大好きだ。
もちろん、アジリティを走り終えて褒められ、ご褒美をもらうことも大好き。
これ、どれも競技会では「待たなくても得られる成果」。
ここでも私は致命的なミスを犯した。
ワグがスタートを飛び出した当初、リカバリーに励んだのだ。
それはつまり、学習する機会を与えたことに他ならない。
そして学習した後、しばらく飛び出したら即競技をやめ退場、あるいは
スタートをやり直させることを試してみた。
もし競技会が毎週のように行われ、1日5走~10走も走るなら、それも
効果が出たかもしれない。
でも月1、2回で1回2走程度では一度覚えた学習を消し去るのは困難だ。
さらに、昇格や先日のジャパングランプリのような大会でリカバリーを敢行したいま、
ワグの飛び出し行動はより強化されたと言っていい。
ワグがスタートを飛び出す要因をまとめると、
ストレス耐性が低く、衝動性が極めて高い気質。さらに学習により強化された行動。
大きくこの2つが要因だと仮説すれば、この仮説に基づいて対処を考えていく。
大切なのは、競技会以外では待てるという事実。
日頃の練習場でも待てない要因はあるのに、そこでは待てる。
つまり、練習場ではこれらの要因を足し合わせても、飛び出すまでには至らないということ。
練習場でもたまに飛び出してしまうことを考えると、100点越えたら飛び出すとすれば
練習場はこんなイメージ。
ストレス耐性・衝動性:50点
行動の学習:30点
これが競技会だと
ストレス耐性・衝動性:80点
行動の学習:60点
ということは、トレーニングで40点どうにかすれば”待つ”ことになるわけで。
で、そのためのトレーニングをどうやってやるのか?
そこがドッグトレーニングの考え方によって大きく違いが出てくるところ。
Gawではどう考え、どうトレーニングするのか?
長くなってしまったので、それはまた次回…